ムシクイアナ

飼育しているタランチュラ、ヒョウモントカゲモドキ、ボールパイソン、キングスネークなどの飼育記録。またフィールディングの記事も書きます。

日本産カブトムシの飼育と繁殖について:成虫の餌や幼虫飼育にも対応!

 

日本のカブトムシ



カブトムシは恰幅の良い体つきに、前方に伸びる立派な角が特徴です。その屈強な体を使ってクワガタやカナブンを蹴散らしクヌギやコナラなどから出る樹液を独占するカブトムシは子供のころの私にとって最強の昆虫でした。

そんなカブトムシですが今では飼育用品が開発され、誰でも手軽に飼育することができる時代になっています。今回の記事では、比較的安価で入手でき、飼育の入門種とも言われているカブトムシの飼育・自己流の繁殖方法紹介します。人によって飼い方は多少違ってくるので、自分なりの飼育を楽しんでいただけたら幸いです。

 

カブトムシの入手

カブトムシを入手するには販売店で購入するか自分で採集するかの2つの選択肢があります。カブトムシの採集は、ある程度の情報収集と行動力があれば比較的容易だと思います。

しかし、天候や都合があわず採集にいけないということが起こりうるので、お金を出して販売店で購入することが最も近道になります。

カブトムシの成虫・幼虫はクワガタ・カブトムシ専門店やペットショップ・地域によってはホームセンターでも販売されています。また、各ショップがHPを運営しているのでそこからインターネットで通販での購入も可能です。

 

カブトムシを飼うのにに必要な飼育用品

飼育ケース

飼育容器は可能であれば大きめのケースが望ましいです。雄でプラケース小、雌でプラケースミニもあれば十分な広さだと思います。基本的に普段は雄と雌を離して飼育します。

オススメの飼育容器はシーラケース製のコバエシャッターという飼育容器です。従来の飼育ケースと違って、ふたの部分に無駄な穴が開いていないため、コバエの侵入をシャットアウトすることが可能で、保湿効果も抜群です。また、カブトムシがフタに登って降りられなくなる事故が防げます。

 カブトムシの餌(ゼリーなど) 

ペットショップやホームセンターなどでクワガタ・カブトムシの餌として、昆虫ゼリーが販売されています。フィルムをはがすだけですぐに与えることができるのでゼリーを与えるのがお手軽です。

昆虫ゼリー以外ではバナナなどの果物を与えることも可能ですが、腐敗が早くコバエも湧きやすいので常用はしておらず、ゼリーが切れてしまった時と産卵前だけにしています。

時期によっては果物の値段が高騰しますし、専用ゼリーは製造メーカーが試行錯誤して作られたものなので適しているといえるかもしれません。

与えた餌をすべて食べきったら新しい餌を入れます。食べずにいた場合は、カビが生えたり、汚れが目立ってきたら交換するようにします。餌を食べすぎてしまうということは無いので、多少多めに入れるくらいがちょうどよいです。

 

マット

マットとは、飼育用の床材のことです。クワガタ・カブトムシ専門店やホームセンターなどで販売されています。成虫の飼育のみで、産卵~繁殖が目的でないのであれば、こだわる必要はありません。マット以外にもハスクチップや園芸用のミズゴケも利用可能です。

私は爬虫類も飼育しているので成虫管理にはハスクチップを主に使用しています。足りなくなったときには発酵が浅いマットか針葉樹マットを敷いています。マットは成虫が潜って隠れることができるくらいの厚み(4-5cm程度)にしています。厚く敷きすぎると脱走される危険性が高まってしまいます。 産卵させたい場合は、カブトムシ用として販売されているマットが最も適しています。

餌皿

入れても入れなくてもいいと思いますが、私はなるべく入れるようにしています。

餌皿の役割は餌(ゼリー)がマットの上にこぼれ落ちないようにするための役割を果たします。食べるのが下手な個体は食い散らかしたりしてマットの汚れが激しくなり、そのたびに新たなものに交換してあげないといけなくなります。汚れ防止の他に転倒防止になります。

転倒防止材

カブトムシやクワガタは、足を引っ掛ける場所が無くて起き上がれないでいるとずっともがき続けてしまい、気が付かないで放置してしまうと弱って死んでしまいます。この転倒死を防ぐために足場になるものを入れてあげましょう。

転倒防止材として、産卵木の樹皮や木の枝、木の葉が販売されています。

霧吹き

カブトムシは湿度がある環境に生息している昆虫です。乾燥条件で飼育していると符節が取れやすくなります。それを防ぐために霧吹きで定期的に飼育ケースの中を湿らせる必要があります。蒸れに弱いので湿度の与えすぎにも注意が必要です。

霧吹きでかける水は、水道水で大丈夫です。カブトムシが死んだりしていませんし、普通に繁殖することもできているので全く問題ないといえると思います。心配な場合は水道水を数日前に汲み置きし、カルキ抜きした水を与えるとより安心できると思います。

 

防虫シート

コバエ対策に必要です。カブトムシの飼育に使うマットにコバエが湧くことがあります。卵を産み付けられてしまうと大量に発生するので、侵入・脱出防止のために必要になります。正直あってもなくても問題ないというところですが、あるとあまり不快な思いをしません。

カブトムシの成虫の飼い方

飼育ケース内の画像

紹介した道具をこの画像のようにセットして、カブトムシを飼育しています。転倒してもエサ皿と材片が設置されているので、自力で起き上がることが可能です。

霧吹きの頻度は週に1回くらいです。マットの状態は手で軽く握って、ダマになり突くと崩れるくらいの湿度が理想です。

 

飼育ケースは、太陽の光が直接当たる場所には絶対に置かないようにします。太陽熱には敵いません。熱で1日もしないうちに死亡してしまいます。

家の外に置く場合は、雨で濡れるような場所は避けてください。厳密な温度管理をしない環境でカブトムシを飼育するときは、靴箱の中や床下などに置くのがオススメです。

風通しがよく、30℃以上にならない場所が理想的です。

 

カブトムシの交尾

カブトムシの幼虫を得るには交尾をさせる必要があります。

カブトムシの繁殖意欲は旺盛で、十分に成熟した雄を雌の背中に載せるとすぐに交尾を始めてくれます。

交尾をさせるコツは、雌を飼っているケースの中で交尾させることだと思います。雌が餌を食べることに集中している時に静かに蓋をあけ、雄を後ろからのせます。雌が雄を拒絶しない限り、すぐに交尾が始まります。

雌が嫌がって逃げた場合は、無理に追いかけずにまた別の機会に試してみます。

夏に野外で採集してきたカブトムシはすでに交尾をしている可能性が高いため、そのまま産卵セットを組むことができます。

ブリード物の場合は餌を食べだして1週間くらい待ってから交尾させます。

 

カブトムシの産卵セット・繁殖

カブトムシに産卵させる場合は適したマットを選択する必要があります。

産卵床として用いるマットは、発酵がだいぶ進んだ黒色に近いマットや腐葉土などで、どちらにでも産卵してくれます。

マットの粒子は触ったらふかふかしているような細かい物が適しています。

水分については手で軽く握った時に塊ができるような適度に湿っている位が理想です。力いっぱい握った時に水分がにじみ出てくるようでは水分が多すぎます。

最近では水分量が最適に調節された市販の発酵マットが販売されているので初めはそういった製品を購入して感覚をつかむとよいと思います。

 

私はいつもプラケースの中か大で産卵させています。

この容量のケースだと長期間セットした場合、雌が卵を潰してしまう可能性があるので2週間程度で卵を取り出すか、別の産卵セットを新しく作って雌を移す必要があります。

 

産卵セットの方法

カブトムシの雌はマットを固めて卵の部屋のようなものを作り、その中に1個ずつ産卵します。そのためあらかじめケース下半分ほど固く詰めることで、産卵の手助けにもなります。

固さはケースをひっくり返しても落ちてこない程度には詰めます。その固詰めしたマットの上に更にケースの8分目ほどマットを乗せてやります。

固めなくとも産卵は行われますが、私の飼育環境ではこの作業を行ったほうが産卵結果が良かったです。

 

マットの上に餌と転倒防止材を散りばめてしまえば完成です。

 

産卵セットに雄をいれたほうがよいか

交尾意欲が旺盛なため、一緒に飼育しているとよく交尾をしたがります。

その結果雄の寿命が短くなったり、雌が産卵に集中できなくなる・体力を消耗するということが起こりうるので交尾を確認していないなどの事情が無い限り同居させることはしません。

また、雄もマットに潜るため雌がせっかく産んだ卵を潰される可能性も生まれますので、産卵セットには交尾済みの雌のみを入れた方がよいと私は感じています。

 

産卵セットの割出(幼虫の取り出し)

産卵セットを組んで2週間程度経過したら雌を取り出します。取り出す理由は雌がせっかく産卵した卵を踏み潰してしまうことを防ぐためです。順調に産卵が行われていれば雌を取り出して2~3週間程度で卵が孵化し、幼虫がケースの底面・側面から確認できる場合があります。この期間を設けることで、割出時に卵がでてくる可能性を下げます。

 

画像のように、ケースの外から幼虫が確認できていれば安心して割出を行えます。

 

割出の時に用意する物は、ケースをひっくり返す用のタライかトレー(外でやるなら新聞紙でも大丈夫です)、スプーン、発酵マットを詰めた容器、割り出し中の幼虫を整理するための小分けケースです。

取り出す卵や幼虫は非常に小さいため、傷をつけないように丁寧に作業します。固く詰めたマットを優しくへし折るようにして卵・幼虫を探していきます。

卵は固く詰めた層とふわりとした層の間やケースの底面近くからよく発見されます。

 

 

幼虫を見つけて別の容器へうつすときは、雑菌対策のために素手で行わずにスプーンなどを使います。

飼育数と幼虫の状態を把握するために、一時的に仕切りのある小分け容器に幼虫を入れておきます。

用意していた容器の数が足りなくなったら、取り出した産卵セットのマットはまた同じケースに戻して一時的に保管します。

幼虫に与える餌が確保できたらなるべく早めに割り出すようにします。

 

カブトムシの卵の管理

割り出している時に卵が混じってしまう場合があります。

卵が出てきたらプリンカップにマットを詰め、箸などで穴(くぼみ)をつくり、そこに卵を配置してマットを被せます。

私は観察がしやすいように側面に穴をあけて卵を落とし込むようにしています。

 

孵化して1週間程度経過したら大きめの飼育容器に移します。

 

カブトムシの幼虫飼育

カブトムシの幼虫の飼育は基本的に発酵マットを与えるだけです。

使用するマットは発酵が進んだこげ茶色~黒色に近いものが適しています。

昆虫マット以外では腐葉土でも飼育可能ですが、腐葉土に殺虫剤が含まれていた場合カブトムシの卵や幼虫も死んでしまいますので、入手時に注意が必要になります。


取り出した幼虫は、基本的に小型のケースで1匹ずつ個別飼育します。

幼虫を一つのケースにまとめて飼うこともできますが、その分餌の消費スピードが速くなります。

 

ケースの側面や上部に糞が目立つようになったら、新しいマットに交換します。

使用する容器の大きさと入れている幼虫の数にもよりますが、だいたい60日~90日のスパンで餌を交換していきます。

3令幼虫になると、非常に大きくなり、マットを消費する量も多くなってきますので、たくさん入れている場合は注意する必要があります。

マット交換を定期的に行うことが大きなカブトムシを羽化させるポイントです。

温度管理しない状態で飼育していると翌年の5月-6月には蛹になります。

カブトムシの蛹 前蛹~羽化

3齢幼虫が成熟し、体の色が黄色身がかってくると蛹になるための準備が始まります。
幼虫は蛹になるために縦長の部屋(蛹室)を作り、直立状態で蛹化します。

ケースの底から分からない場合がありますので、ひっくりかえさないように注意が必要です。


蛹室を作成し、幼虫が蛹になるまでの期間を前蛹と言い、幼虫の体が縦に伸びて次第にまっすぐになり、お尻の方にシワが出てきます。
この前蛹の期間は約2週間ほど続きます。この時期はデリケートなので刺激を与えないようにします。


蛹は温度にもよりますが、蛹になって3週間ー4週間経過すると羽化します。

 

羽化直前は、蛹の中から成虫が透けて黒っぽく見えるようになります。
羽化直後はまだ前翅が真っ白で柔らかい状態なので触れるとへこんでしまうので触らないでください。
羽化した成虫は3日ほど蛹室の中で体が固まるのを待ちます。

上翅は白からオレンジ、最終的には黒へと変化していき固まります。

羽化した後の管理方法

成虫になったカブトムシが自分で蛹室から出てくるまで待つのが最も良いと思いますが、羽化してくれると嬉しくて待てないことが多いです。

取り出した成虫は飼育ケースにマットを厚めに敷いて、その上にティッシュを2,3枚折りたたんで入れて管理します。

ティッシュを入れることで転倒防止、ぼろぼろになってきたら活動開始時の目安になります。活動を開始するまでは餌を食べないのでゼリーを入れる必要はありません。

羽化して1週間~2週間経過すると、カブトムシの成虫は餌を食べだします。餌をよく食べるようになったら交尾も可能になります。

餌をとる必要のない成虫はマットに潜って過ごします。摂食が必要になった場合は自然と自分からマットの上に出てきて餌を食べるようになりますので心配いりません。

ゼリーを食べるようになってきた後は、先に紹介している成虫の飼育方法と同じように管理しても大丈夫です。

 

以上が私が実際に行っているカブトムシの飼育方法です。まだまだ書き足りないところ、なおしたいことがたくさんあります。時間を見つけては修正・追記していきます。